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高速鉄道脱線事故に続き、またまた中国社会の歪みが起こした? 《慶陽市園児バス衝突事故》のまとめ

中国で一昨年の11月、石炭を満載したトラックが園児の送迎バスと正面衝突。運転手と添乗していた教師だけでなく、19人の幼い園児の命が失われる事故が起きました・・・などと書けば栃木/鹿沼市のクレーン車事故を想起する人もいるでしょうが、こちらの事故はオドロくべき「幼稚園側の過失」こそが直接の原因でした。


その「送迎バス」は、9人乗りの1BOXカーを応急改造。ふたりの従業員が62人!?の園児を立たせたまま押し込めて、「64人乗り」で幼稚園に向かっていた。
高重心で25人くらいの大人を乗せていたにも等しく、それで一般道を80km/hもの速度を出して(推定)いれば、風にあおられただけでもハンドルを取られかねない「危険キワまる」乗車形態だった ──。




▼ 事故の概要


園児20人死亡事故 バスには定員の7倍 -- 新唐人テレビ日本
※園児の死亡人数には18人、19人、20人の情報が錯綜しています。


2011年11月16日 午前09:40頃、甘粛省慶陽市正寧県楡林の(中央分離帯のない)地方幹線道で、幼稚園に向かって走行中の「送迎バス」がセンターラインを越え(反対側から来た)大型トラックと正面衝突した。

この事故で「バス」の運転手、助手席にいた教師、後部荷室に乗せていた園児19人・・・の計21名が死亡。

事故当時の現地は視程50m足らずの濃霧状態にあり、双方の速度や車重からいって「対向車に気づいた時点ですでに、衝突回避は不可能であった(=ブレーキを踏む間もなかった)ろうと思われる。

事故を起こした「バス」は全児童を送り終えるのに、同地区と幼稚園を毎朝夕それぞれ3往復していた。シャトル運行が短時間に集中する「超過密」スケジュールゆえ、(馴れもあって)常習的に速度違反を繰り返していたのでは?という疑惑も持ち上がっている。


【参考MAP】 事故現場(正寧県)の位置
左図中、A印のついたポイント。

西安の北方に位置する農村地帯のようです。

出典:Google Map



今でも「Qingyang school bus accident」をググれば、中国のみならず、世界じゅうの配信記事や画像に行きつきます。



空いてくれば、座らせることもあった?

外したリヤシート・レールに据え付けられた、申し訳程度の「対座シート」。



まさに、「血色校車」(血染めのスクールバス)と化した惨状。





事件を伝える現地のTVニュース


▼ 事件の背景


やはり中国ですから、そこは根底に(1)緩和されつつも長引く《一人っ子政策》と(2)沿海部と内陸部の間で拡大する《所得格差》、の問題があります。

事故は、奇しくも(庶民の所得向上が進んでいない、とされる)内陸部で起きました。

ひとりっきりの子供には早いうちから勉強させて、「沿海部なみの」暮らしができる職に就かせたい!という親たちの望み。それを逆手に取って隆盛する「月謝の安い幼稚園ビジネス」 ──。今や『 黑校车(黒校車=改造スクールバス、の意)』は、ネット上における流行語のひとつになっていますね。

19人の尊くも幼い犠牲は、現代中国の「イタい部分」を突いた社会的な事件、でもあったのです。


教育熱を反映し、増える私立幼稚園。
なのに中国政府の「業界」支援策は、いっこうに拡充されてゆきません。農村部の学齢前教育は、ほとんど民間まかせ。
新世代の親たちの焦りの加速に比べると、上層部の幼児教育観との間には、まだまだ「 見えざる乖離(切迫感の差?)」があるのでしょうか。
関連記事:
http://kinbricksnow.com/archives/51742042.html


中国の幼稚園はまるで予備校みたいですね。でも、親御さんの方が勉強させることを望んでいるんです。つまり、勉強をさせない幼稚園には親御さんが入れないということなんですよ。
出典 幼稚園から始まる「心の教育」 宮下敏子さん--人民網日本語版--People's Daily Online
(出典)北京ふたば幼稚園 「心の教育」インタビューより


▼ その後の波紋


全国的に慣習化していた園児の「スシ詰め輸送」に、市民からの批判が集中。


現地新聞による、事故の経緯と反響のまとめ
詳しい図説による事故の経緯。海外の「スクールバス」事情も合せて紹介。欧米や日本に比べ、中国における「学童の送迎環境」がいかに未整備でお粗末なモノであるか?について警鐘を鳴らしている。


中国国務院、甘粛省幼児送迎バス事故で地方に通達
中国国際放送局



事故前から、しばしば「摘発」?もあるにはあったが・・・しょせん、焼け石に水。違法スクールバス(黑校車)の運行が止むことはなかった。
英Telegraph.Co.UKによる撮影動画。