す⊃ぽんはむの”元”NAVERまとめ

大部分は まだテキストのみ。順次、画像を復元します。

今から15年前のある朝も、「スパムメール」は自宅の郵便受けに届いていた。【語り継ぐネット前史】

ミレニアム(2000年)は日本社会にとって、ネット社会の「出現前、出現後」の節目でもあります。たった15年前の「別世界ぶり」をいろんな角度から「まとめ」てみる試みの第1弾!です^^


はじめに


これ、ナンだかワカりますか?
16年前(平成8年)の初夏、自宅の郵便受けに届いていた一通の封書です。

東京綾瀬局の消印が見えます。

差出人は東京都内の住所を記した「須藤」さん、とありましたが全然、面識のない苗字です。手書きの筆跡がから見るに、女性のように思われます・・・


15年前は、生活様式において「別世界な時代」
わたしたちは良く「昭和世代」を旧人類、「平成世代」を新人類、と呼んだりしますが、生活様式や世界観のありようの「知層学」から言うと(元号での区分けは)ズレています。

インターネットやケータイの急速普及によるネット化の波・・・その到来は平成の11~12年ごろ※と思われるからです。

※史料 「インターネット普及のピークは2000~01年」
http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/6200.html


ネットのない時代から、「スパムメール」はすでに、存在していた。
80~90年代は通販産業の黄金期で、「カタログショッピング」や「(郵便を介した)DM商法」が華盛りでした。

ネット端末が普及する直前のごく一時期には、海外通販会社の日本語版DMやカタログまでが、新客獲得のために押し寄せたほどです(ほとんどの海外系DM事業はその後、日本市場から撤退)

そうしたDM商法を悪用する業者や個人によって、人を騙そうとする、突然で一方的な宣伝メールや風俗メールが暗躍するようになり、海外では「スパム」という俗称も登場したのです。


もちろん、まだ個人情報保護法なんて存在しない。名簿の売り買いは公然と行われていました。
保護法が制定されたのも、ネット史の前後を分かつミレニアム記のこと。
2003年(平成15年)5月23日の成立、2005年(平成17年)4月1日の全面施行です。


[参考] ソニー、フロッピーディスクに記録するデジタルカメラ発売
これが翌1997年のことです。しかも1台6~7万円も!しました(笑)


本 文 ~ その中身


「便箋」 1枚目の全文
いやまるで「市販の便箋」に万年筆?で清書しているかのよーな精巧な見栄えですが、よく見ると「全部印刷」であるコトがワカります。

文中には、わたし自身の名前が一切出て来ない点からも、「不特定多数を前提に」書かれたであろうことは明白。

これを発送していた仕掛け人は数年後に、地下出版で素顔を見せて「カネ儲けの武勇伝」を語ってましたが・・・まあ、そのへんは当まとめの主眼ではないので割愛します。

ちなみに、もちろん「中年でイカガわしげな風貌のオッサン」でしたよ。その正体はwww


「便箋」 2枚目の全文
よーするに、長文でタラタラと「ソソられるよーな」前フリをつけながら、結局のところ「使用済みのパンティを5千円で買ってください。普通郵便にお札を入れるか、代引きでお願い」との内容。

最後にさりげなく「早めにね」と督促してるあたりが、ご愛嬌??


便箋には、こんなメモ切れも。
当時、女子大生や独身貴族に普及していた「日本語ワープロ」なる電子タイプライターで打ち、無造作に(コピー紙の)下半分に定規を当てて引きちぎってあります。

「若いオンナのコ」が一生懸命、自作したの♪感を演出したかった?のでありましょうか。


その住所も部屋も、実在した。
あたりまえですよね^^;

でなきゃ返信される「5千円札」を受け取れない。

今はGoogleさんのストリートビューがあるから、ちょっとした興味で「現地」が見れる。当時、思い描いた通りの「どこにでもありそーなマンション」でしたわ。


あとがき ~ 本当に「スパム」だったのか?


わたし自身が、この種の「スパム」に送金した経験は無いので「憶測」含みですが、厳密な意味でこの風俗系DMがスパムなのか? は検討を要するでしょう。


もちろん、若い女性を騙っているのは「詐欺行為」だが、カネを「もらい逃げ」したとは考えにくい


当時、「使用済み下着、売ります、あげます」的な釣り広告は珍しくありませんでした。(今も?)

何かのサービスで(実際に郵送で)受け取った経験もありますが、実際には、あきらかに原価が数百円程度のパンティを、安物香水などで「何滴か汚しただけ」らしいモノでした。

この業者も、パンティそのモノは(送金者に)送った可能性が高いです。リピしてさらに巻き上げられる、という下心以上に、「住所がすでに割れているのだから、万一、面目も顧みず警察に『ダマされた』とお届けられてはアシが付く」ということ。(送ったパンティが)使用済みかどうか、まではバレっこないのだから。

となると、これは「詐欺ありき、の純然たるスパム」と言い切れるのか?

実体は「カネをくれ。お礼に、妄想付きのパンティーやるから」という、単なる「ネット乞食」行為に近いんじゃなかろーか^^; 

あらためて、思うのですよね。「血も涙もない」きょうびのネット詐欺に比べ、「15年前までは、ダマし方ひとつにも〈人情〉があったな」とは言えないかしら、と。


ただし刑法上は、半裸の写真を大勢に郵送した時点で「犯罪」とみなされ得る。
「猥褻」の定義によっては《わいせつ物頒布等の罪(刑法第百七十五条)》に問われる
出典 : http://oshiete.goo.ne.jp/qa/2614327.html


↑とのコトですから、この手紙に反応するしないの以前・・・「詐欺」かどうか以前に「猥褻」の罪が成立しているとも言えます。その見地に立つならば、これは「純然たるスパムメールである」という言い方になってくるでしょうね。