す⊃ぽんはむの”元”NAVERまとめ

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リアルな英会話における「but」と「however」のニュアンスを使い分けるには?

butとhoweverの使い分け。よくQ&Aサイトに上る話題ですが、どうも受験英語や古風な価値観、文法論から回答されてる人が多く、話しコトバとしては「現実」的な指針ではないなァ、と感じます。現代口語だけに絞って、文法ウンヌンは抜きに(両者の違いを)説明してみました。


butは「転意(でも)」、howeverは「反意(とは言っても)」。似ているようでも、厳密には「言いたいコトの主旨」が違います。


butは口語調で、howeverは(あらたまった)文語調と従来(の日本で)は言われてきましたが、このところ若い人でも、日常から口癖のように「however」を乱発する例が見られます。なぜ「but」ではなく、「however」を選ぶのでしょう?


butとは? ・・・ 「でも」「けど」「だけど」


A but B (AとBは異なる)
話し手にとって、「AだけどB」と言うとき、Aという要素を否定も無視もせず、「AではなくB」と言っているにすぎません。

AもBも、話し手にとっては等価値の概念です。


but の具体例
ツイッターからの引用。

インド料理の注文メニューについて、「サモサも好き。だけどチキン・カレーを頼んだ」と言っています。

たまたまチキンを選んでも、サモサという選択肢も「アリ」だと考えているので、単純に並列の「but表現」で返しています。


howeverとは? ・・・ 「とは言っても」「ってゆーか」「そうじゃなくって」


A however B (AではなくBなのだ)
話し手にとって、「Aとは言ってもB」と言うとき、Aと思われても「実はB」「厳密にはB」「この場合はB」「わたしはB」なのであって、Aを否定したり、Bより過小に評価する気持ちが はたらいてきます。

あくまでBと断じていて、Aは「違う」「見た目だけ」「安直な見方」「そう思うのは間違い」・・・つまりは「Aなんかじゃないよ」という反発心を聞き手に抱かせるのです。


あえて“however”と言った方が、「厳密には違う」「実際は違う」「論理から言うと違う」「あたしの主義とは違う」といった、一歩踏み込んだニュアンスを伝えられます。

話しことばとしては(従来は)演説や討議の場でしか聞きなれないフレーズでしたが、今は「理屈をコネること、こだわりを持つこと」をステイタスと自認する世代が増え、使われる場面が増えています。このときに(より意味の広い)But を代用させてもいいのですが、「however」より真意はボケてしまい、「違うよ」と反発するニュアンスは薄れます。

たとえば、気心の知れた仲良しに「ワカってないね、あんた」とフッかけたい場合や、大キライな相手に「ナニ馬鹿言ってんの。ウザいから消えて」とワカらしてやりたい場合・・・などなど。but では明らかに!インパクトが足りないのです。

この用法と相互ニュアンスなのが、「whatever」。

字ヅラだけ直訳すれば「ナンとでも」。しかし会話の相手にひとこと「ほわればァ」と言い放った場合、「好きにすれば?」「勝手にしなよ」といった意味合いに転じます。「(あなたが何をしようと)あたしの知ったこっちゃない」とか「(あなたが何をしようと)どうせ無駄だぜ」といった腹のうちが前面に出るのですね。

これも“however”同様に、相手を突き放したり、その意向を拒絶する(もしくは蔑む)意図で用いられます。


【応用】 両者の違いを活かせば、さらに「さりげない伝えかた」テクも!?


ここまでのニュアンスを踏まえて、本来〝but〟と言うべきフレーズのなかに〝however〟、あるいはその逆の「意図的な置き換え」を行うコトも、ネイティブ(の中でもボキャが豊かな人たち)は無意識にやっています。昔のTVドラマで見てみましょう。


本来、文頭の「However, 」となるべき言い回しに、わざわざ「But, 」を持ってきた一例
宇宙大作戦(旧スタートレック)』のあるエピソードのなかで、副艦長のスポックが船医マッコイに、こう言っています。
 
「艦隊との通信を回復させることに傾注せねば。仮に私がここで泣きわめいてる方が乗組員の士気が上がるとしても、それでも、あなたの医療能力に託す他ありません」

この「それでも」に相当する部分が、「But」。

英語本来の用法でないことは、下記英文法の学習サイトでも指摘されています。
http://grammar.quickanddirtytips.com/starting-a-sentence-with-however.aspx


つまり↑ ここで「But」だと 〈皮肉っぽく〉聞こえる。


スタートレックを丸っきり!ご存知ない人には若干、解説の前に「補足」が必要でしょうか。

この「スポック」と「マッコイ」は いわゆる「犬猿の仲」で、シリーズを通し延々と(互いのコトを指して)棘のある「言いかた」でチクチクやりあっている...というキャラ設定。

それでも業務上、両名は寄り添って?登場する場面ばかり。アメリカでは「まるでケンカの絶えない腐れ夫婦のよーだ」と茶化され、彼らをホモ夫婦に見たてたギャク動画が多数、YouTubeに投稿されているのです。


この「大前提」に立って、上のスポック発言を分解してみましょう。
 
もし正規の文法通り、But でなく However なら、スポックはソリの合わないマッコイに...
 
>「上官が泣きわめいているだけで、乗組員の士気が上がる」なんてコトはまず、ありえない。それなら「あなたの医療能力に期待する」方が真っ当だよ。

...と言っているコトになります。ありきたりでフツーの、上司と部下の会話です。しかし、ここでもし however を but に変えたなら、ニュアンス的には「上官が泣きわめいてるだけ」の処しかたも、けっして全否定はしていない!?ことになります。つまり、具体的には...

> たしかに「上官が泣きわめいてるだけ」の方が、「あなたの医療能力に期待する」より乗組員の気が晴れるかもしれないが、そこをナンとか お願いしたい。

...と言ってるようにしか聞こえない^^;ワケです。

非常に「やんわりとした皮肉」のパンチです。善意に解せば「そこまでギリギリの限界状況なんだから、あんたに今、治療を投げ出されちゃ困る」という、上官としての軽い叱責...の意味合いも込められている?でしょうか^^;

言われたマッコイの側にしてみりゃ

> って「そこ」かよ スポック!? ナメ切りやがって上等じゃねーか。患者は絶対、治してみせるから覚えてやがれっ!!!

と、さぞかし闘志を燃やしたコトでしょう。そのへんの掛け合いこそが、人間ドラマ的な要素としてオモしろいのですよね。 さあ、But と however の、小さいけれど「確たる」違い。だいたいのフィーリングで、つかんでいただけましたでしょうか?         ==〈完〉==