す⊃ぽんはむの”元”NAVERまとめ

大部分は まだテキストのみ。順次、画像を復元します。

M8.2 カムチャツカ地震で、どうしても気になってくる「あの洋上原発」のカムチャツカ来航

福島の事故で、ロシアのエネルギー会社首脳は俄然、「洋上原発に勝算アリ!」の確信を深めたと言う。そればかりか、世界初の洋上発電所《アカデミック・ロモノソフ》を、わざわざ地震の巣でもあるカムチャツカの軍港都市で本稼動させる!?とすら決めてしまった。「本当に」大丈夫なのかああ^^;???


はじめに


早ければ、2016年暮れにも極東へ
建造は2007年には開始され、(完成のメドが)延び延び&あやふや^^;になっていたが、福島原発の事故を境に様相が一変。

にわかに建造ピッチが早まり、先般「2016年」とのプレス発表がなされた。


水上原子力発電所: The Voice of Russia
水上原子力発電所「アカデミック・ロモノソフ」号は、2016年9月9日に引き渡される予定となった。「アカデミック・ロモノソフ」号は、ロシアのみならず世界初の水上原子力発電所となる。


電力需要増が「確実に」見込まれる極東は、いろんな意味でベストな「テスト条件」がそろう?
ヴィリュチンスクと言えば、もともとが軍事的「閉鎖都市」であってテロ懸念が低く、ナニより原潜の整備工場がある。

もちろん、炉心の冷却には(冷たい)海水を惜しみなく使える土地柄・・・。

地震が多いのと、万一の事故なら戦略上重要な軍事拠点を丸ごと失う、というリスクを考えてもなお「成功すれば、カムチャツカ~クリル諸島へのエネルギー供給が格段に低コストですむ」という魅力には代えられない?のか。


○ 分 類: 原子力発電所 人工浮島
○ 排水量: 21,500トン
○ 全 長: 144.4m
○ 全 幅: 30m
○ 全 高: 10m
○ 喫 水: 5.6m
○ 定 員: 69人
○ 注 記: 2基の変更型KLT-40S原子炉(砕氷船型)


「すでに確立した」技術の転用、ギャンブル性は低い



上記のスペックにあるように、搭載する原発2基は、ともに《タイミル》型砕氷船【画像】で長らく実稼動させている「既存モデル」の改良型である〈KLT-40S〉。

同《タイミル》は東北大震災直後の同年5月5日に放射能漏れ事故を起こし、一部のメディアが「この船の炉は福島第1号機のおよそ1/3相当、実に17.1万kWもの!?総電力を出力する強大なモノである」と書いて騒いだ。


実際には、これは砕氷船型PWR(加圧水型炉)の熱出力量を、最終的な電力出力量と取り違えたために発された誤報であった。

いくら氷上とはいえ(たかが砕氷船1隻の)航行に、電力換算値で10万kWを超える!?ほどの推進パワーは必要ないハズである。

正しくは、3.5万kW。

《アカデミック・ロモノソフ》にはこれが2基載って、しめて7万kW。「原子力発電所」としては極めて小さな「ポータブル発電所」と言える。福島原発の2~5号炉クラス(78.4万kW)に比べたら、そのアウトプットは2基合わせても(福島の1基の)1割にも満たない!?のである。

Wikipedia日本語版における「水上原子力発電所」の記述では「20万人の人々が住む市への供給分」を賄う、とあるが、東京電力の(1世帯分=3kwとする)試算法なら、2万3千世帯を賄うにとどまる。

発電量から言えば《アカデミック・ロモノソフ》型の発電設備がいかに「離島や軍事基地、北極圏などの特殊地域用」であるか、が自ずと見てとれよう。ロシアの(原子炉・発電設備・船舶の)製造当事者たちは、この「特殊地域」に「新たに〈地震の多い地域〉がクローズアップされてきた。商品パッケージにすれば、環太平洋地域などへの原発輸出に弾みがつくぞ^^」と、にわかに期待し始めているのである。


福島の「あそこ」に並べると、このくらいの大きさ
発電量のみならず、物理的なサイズもまたイメージ先行じゃイケないので、実際に。

「人工浮島」などと表現されると「どんだけデカい」んだ、と思われるが、それほどデカくは。

建屋と甲板を含めた総占有面積にしても、戦艦大和の半分ちょっと(56%)くらい。


セヴマシュの潜水艦工場における、「コア区画」の建造


コア区画の「下部構造」?
下部構造と言うより、フツーに「原潜の船底」に見えるが^^;・・・船底にしては(明らかに)、浮島となる扁平な巨船本体の底部より小さいようだし。


※参考画像
原子炉区画にだけ、さらに独立した船底を持たせる、という二重構造は、すでに砕氷船建造のときから踏襲されてる設計ポリシーのようである。

たしかに砕氷船は、前後方向の「押しつぶそうとするG圧」がハンパないであろうし。


コア区画に搬入される"原子炉"本体
ロシア伝統の加圧水型炉なから、福島原発などのBWR炉よりさらに、「グン!と小型化して」あるコトが見てとれる。


※比較画像
ちなみに・・・

同じくロシアの最新PWR。ベトナムに建造中のニントゥアン第一原子力発電所だと、内部の広さはこんな感じ。炉の上部構造が見えているだけだが、上の写真↑の優に10倍はありそう。これ1基で実に、100万kwを叩き出す。


コア区画の「上部構造」?
って、それ自体が、海底軍艦みたいなw

最悪のテロ襲撃に備え「船の中に船」という、マトリョーシカ構造になっているのかもしれない^^;

たしかに、戦争になれば爆撃される場所(軍港)で使うからには、無理ないかもww


「飛行機が激突しても、コア区画は破られない」
実際、製造者の説明↓に、そう書いてありますww


以下=IAEAへの届出書、原文のまま。

The RP is installed in the reactor compartment located in the midship of the FPU.
Each RP has its own steel leak-tight protective shell. The reactor compartment is guarded
on the outside by the protective enclosure consisting of multi-layer ceilings of the superstructure
roof, machine room bulkheads, and superstructure side rooms.
All these structures constitute the external protective barrier of the reactor compartment,
which is capable of withstanding external physical impacts, including aircraft crash on the FPU.




バルト造船所(サンクトペテルブルク)における、外郭部の建造



進水前のドック内建造の風景。

(このあと、「コア区画」を組み入れた?と思われる)



進水式後、甲板より上部の「建屋」建造へ。



2013年春現在、外っつらはほぼ、出来上がっている様子。

グーグルマップでも、1年ほど前の船体が確認できる。


参考リンク


むつ (原子力船) - Wikipedia
1968年 11月27日進水、1969年 6月12日竣工。日本の技術開発史において苦い体験となった「日の丸 原子力船」開発&就航の頓挫から「永久封印」まで。
その顛末の一部始終と、「原子力船といえばロシア」という目下の状況に至った経緯など。